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国策提言 国連大学再設置構想

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国連大学再設置構想   2007-02-04
教育・政策提言機関としての国際連合大学再設置構想(提案)

ご意見をお寄せください。

1 国際連合大学の現状

1-1 現在の国連大学について

  1969年、当時の国連事務総長ウ・タント氏は、年次報告の冒頭で国連大学設置構想を明らかにした。彼は、真に国際的な性格を有し、国連憲章が定める平和と進歩のための諸目的に合致し、多くの国々から集まった教授陣と、多くの異なる文化的背景をもつ学生からなる大学において、国際的な雰囲気のなかで共に暮らし学ぶことによって、互いに一層理解しあえると考え、また、その大学が寛容の精神と思想の自由について、定評のある国に設置されなければならないと述べた。

   しかし、各国の協議を経て決定された国連大学は、研究、大学院レベルの研修および知識の普及に携わる学者・研究者の国際共同体となり、その機能は企画調整のための大学本部及び先進国、開発途上国における研究・研修センター、また研究研修プログラムのネットワークを通して果たされることになった。

 教授陣や学生をもたない国連大学は、教育機関というより学術研究機関になってしまったのである。(参照:国連大学H.P.)

1-2 国連大学を日本に招致した理由の一つ

当時の日本の大学には国際性が欠如していた。ヨーロッパの伝統的な大学は創設以来きわめて国際性が高く、各国の学生たちは大陸の大学間を移動しながら学問にいそしんだ。そのような伝統に立った欧米の大学では、今日でも教授や学生が学問のために国境を越えて移動することが当たり前となっているが、日本の大学は国際性が乏しいといわざるをえなかった。1970年にOECDの教育調査団が日本の大学の閉鎖性を鋭く指摘し、世界参加のための大学教育を呼びかけたことは、教育関係者の間でいまだ記憶に新しい。国連が独自の大学設立構想をもったとき、日本政府内部や教育界が、国連大学の日本誘致は理想的な大学のあり方を模索する機会につながるとの期待をもったと想像することは難くない。(参照:国連大学H.P.)

1-3 以上から分かること。

(1) 研究者間の学術研究と情報交換、途上国の大学への学術的支援に閉ざされている。

(2) 日本に本部があるにも拘わらず、存在意義が見えなかった。



3 今なぜ国連大学か

3-1 世界の置かれた状況

ア 東西冷戦終結後、民族間、宗教間などの利害対立や地域紛争が激しくなっている。

イ 石油他資源の枯渇と地球温暖化がいわれている。

ウ 飢餓、貧困、難民問題等は、現在まで深刻な問題として続いている。

エ 経済のグローバル化により、世界の極辺の病気も一気に世界に広がるようになった。

(AIDS、エボラ熱、SARS、鳥インフルエンザなど)

オ 先進国等の少子高齢化、イスラム圏等の人口増加、BRICSの発展などにともない、今後数十年にわたり、世界の勢力地図が塗り変わる可能性が高く、国際秩序は歴史的な変動期を迎えると予測される。

3-2 いまこそ国連大学を

3-2-1 国連大学

このような状況にあって現在、世界各地より講師陣が諸地域の具体の課題を持ち寄り、横断的に研究し、多様な出身の学生を育て、世界に散った卒業生の活動をネットワーク化し、支援していくことが、世界の共存共栄を目指す姿として見えてくるのではないか。       

世界の中の日本として、今日のわが国のなすべき重要なこととして国連大学、ウ・タント事務総長の理念の実現がありはしないか。

3-2-2 大学院とビジョン提言機関

国連は世界的なあるべき姿とその実現化戦略といった方向性を提示できないため、安保理事会決議の困難さ、世界貿易機関(WTO)の多角的貿易交渉の凍結等で明らかなように、国家間の利害対立と駆け引きの場に終始している。このような状況を見るにつけ、各国の利害を超え、研究でなくビジョン提示に特化した大学院と高等専門機関が必要である。



4 国連での日本の置かれた状況と国としてすべきこと

4-1 日本は適地

立地は、ウ・タント氏が「寛容の精神と思想の自由について、定評のある国に設置されなければならない」と言われたその意味で、核を持たず恒久平和を謳う先進国の日本は最適国である。

また、日本の大学に始まりわが国をいい意味で国際化してゆくため、またわが国が今後の世界においても相当な役割を担っていく上で、意味ある国家事業である。

4-2 設置費用等

4-2-1 従来の国連大学について

ア 国連大学に国連の通常予算の配分はなく、各国政府、財団、企業、個人などからの任意の拠出(寄付)に拠っている。97年12月末時点、大学基金および経常経費への拠出は54カ国その他136の寄付者から約3億4,610万ドルである。

イ 設立に際し、日本は大学基金へ1億ドルを拠出し、施設も提供した。本部の用地は東京都が無償貸与している。

4-2-2 再設置の費用

ア 日本の立場

現在わが国は700兆円を超える負債を抱え、世界一の少子高齢化社会に突入している。その日本は国連にアメリカの22%に次ぐ19.5パーセント、年400億円の分担金を拠出しているが、安保常任理事国にもなれない(*1)。日本人役職者も少ないなど、過大な分担金を負っているといえる。

■1:常任理事国のイギリス6.1%/フランス6.0%、ロシア1.1%、中国2.1% 計15.3% ドイツ8.5% 17:51
日本は、ドイツかイギリス、フランス程度の分担金でよいのではないか。それが難しいとしても、この財源内で国連大学の主な支え役となることには、国連の承認も得られるだろう。

   イ 費用の捻出

     従来の国連大学設置に順ずる。

   (ア) 施設の設置費  国負担

   (イ) 運営費  ・・ 授業料の他は寄付



5 国連大学の概要

5-1 学部等   

学部 学科 専攻/補足その他

大学

危機管理学部 民族、文化と危機管理学科

国境と危機管理学科

国際関係論学科

国際政策学科 食料戦略専攻

原発と危機管理学科

NGO学部 NGO学科 /海外青年協力隊(飯田市)、ユニセフ、国境のない医師団

医薬学部 被爆治療学科

伝染病学科 ウイルス感染学科・・AIDS、SARS(重症急性呼吸器症候群)、鳥インフルエンザ/信州大学

地球・地域環境学部 地球環境学科 /地球温暖化 持続可能社会

生物・食料学科 植物専攻/非砂漠化

発酵専攻

動物専攻

環境公害学科

経済学部 経済学科 WTOとFTO専攻

都市政策学科  /都市化

人口政策学科 ・人口ピラミッド(多産多死/少子高齢化)

大学院 ビジョン提言機関

国際政策学部

5-2 国連大学の方針

5-2-1 教育方針 「常に実践を目指す」

ア 対立する各宗教、民族、連合国家群などから専任講師を招聘し、事例研究に重点においた実践的教育を目指す。

イ 水平横断的、学際的総合学習を目指し、共同研究等により危機の現状を掘り下げ、具体の平和厚生策を提示し、その指導的実践者となる卒業生を輩出する。またその政策を国連他に提示する。

ウ 多くの国際シンポジウムを開催し、地域の課題の世界レベルの共有を目指す。

5-2-2 指導研究体制

  ア 講師陣は全員を能力主義とし、任期制を導入する。

   イ 講師陣に対し、学生、外部関係者を含む評価システムを導入し、公正な評価のもと待遇に反映する。

5-3 設置場所と根拠

5-3-1 設置場所    松本市

5-3-2 根拠

    ロケーション、環境に優れ、落ち着いた教育環境が得られる。

ア ロケーション 

(ア) 松本空港(札幌・大阪・福岡線)

(イ) 東京、名古屋からJRまたは高速道路で約3時間

イ 環境

 日本の中心に位置し、世界遺産を目指す国宝松本城ほか、安曇野、アルプス、温泉など健康イメージの強い歴史観光リゾート都市としてイメージが高く、国際都市としての品格を備えている。



6 その他

ア 既存機能の見直し

従来の国連大学本部は、新生大学の大学院、ビジョン提言機関、事務局に融合する。世界各地の研究・研修センター/プログラムは、必要に応じて新設大学に融合するなど、見直しを図る。